「海外でエンジニアを採用したいが、どの国から始めるべきか」は、多くの日本企業が直面する疑問です。国によって時差・英語力・得意な技術領域・給与水準・特有の商習慣がまったく異なります。このページでは、主要3カ国(フィリピン・ベトナム・インド)を同一軸で比較し、自社のチーム構成に合った国の選び方を整理します。
英語力とリアルタイム協業なら「フィリピン」、日本語資産と専属チームなら「ベトナム」、AI・大規模基盤なら「インド」
英語が極めて流暢。時差1時間で日中完全同期。Webフロントエンド、Fullstack、QA、CS運用を自走させたいチームに最適。
BrSE(ブリッジSE)による日本語仕様書開発が可能。Webバックエンド、スマホアプリ、専属ラボ型開発(ODC)に最適。
AI/ML、データ基盤、分散システムの世界的人材供給源。高難度アーキテクチャを任せられる英語ネイティブエンジニアに最適。
3カ国 総合比較マトリクス
| 比較軸 | 🇵🇭 フィリピン | 🇻🇳 ベトナム | 🇮🇳 インド |
|---|---|---|---|
| 時差(日本比) | -1時間 日中ほぼ完全同期 | -2時間 日中7時間同期 | -3.5時間 午後4.5h同期・午前PRレビュー |
| 日常の業務言語 | 英語(非常に流暢・準公用語) | ベトナム語(BrSEまたは初中級英語) | 英語(ネイティブ水準・高等教育全編) |
| 日本語対応力 | 一部コミュニティあり(少数) | 高い(BrSE・親日人材プール多) | 極めて希少(英語運用が原則) |
| 得意な技術領域 | フロントエンド、Fullstack Web、QA、UI/UX、CS運用 | Webバックエンド、モバイルアプリ、理数論理、ラボ専属開発 | AI/ML、データ基盤、大規模分散、クラウド基盤 |
| シニア月給の目安 | 9.5〜16万PHP 約25〜42万円 | 4,200〜5,800万VND 約26〜35万円 | 27〜40万INR 約49〜73万円 |
| 注意すべき商習慣 | 13ヶ月給与(12月法定支給)、電力・台風耐性 | テト賞与(旧正月・基本給1ヶ月)、転職の活発さ | Notice Period(60〜90日)、オファー辞退リスク |
| 正社員EORの会社負担 | 社会保険約6,230PHP(上限有)+13ヶ月給与 | 社会保険+組合費 約23.5%(上限有) | EPF 12%+Gratuity引当 4.81%+保険 約20〜24% |
| こんなチームに最適 | 英語で密にコミュニケーションしたい、UIやCS運用も任せたい | 日本語の設計書を活かしたい、専属のラボ型開発チームを作りたい | AIや大規模基盤のコアを任せたい、自走型エンジニアを求めたい |
給与や法定福利費は2026年10月時点の公開情報と目安レートに基づく概算です。詳細は各国の詳細ガイドをご確認ください。
自社に最適な国の選び方(3つの判断基準)
① 日本語を介したいか、英語で進められるか
日本側の開発陣が英語での仕様書作成やテキスト対話に抵抗がないなら、フィリピンまたはインドが有力です。日本語の設計書資産を活かしたい、またはブリッジSE(BrSE)を挟みたい場合はベトナムが適しています。
② 求める技術の「難易度」と「領域」は何か
Webアプリケーションやスマートフォンアプリの継続開発ならベトナムやフィリピンで十分な費用対効果が得られます。一方で、LLMの活用、機械学習モデルの最適化、高トラフィックな分散インフラの構築など先端領域を求めるならインドに厚みがあります。
③ チームの同期稼働(ミーティング)の頻度
1日中リアルタイムでSlack即答やペアプログラミングを行いたいなら、時差1〜2時間のフィリピン・ベトナムがスムーズです。午前は集中、午後に同期ミーティングという非同期アジャイル開発ができるなら、時差3.5時間のインドがうまく機能します。
国別の特徴と採用時の留意点
🇵🇭 フィリピン:高い共感力とスムーズな英語対話
国民全体が英語に親しんでおり、テキストだけでなく口頭でのミーティングも非常に滑らかです。親切で共感力が高く、チームの輪を大切にします。一方で、台風やインフラの停電に備え、自宅のバックアップ電源や光回線の有無を確認することが実務上重要です。
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🇻🇳 ベトナム:真面目な学習意欲と充実したラボ開発
理数系の基礎学力が高く、日本企業の商習慣を理解したBrSE人材が豊富です。自社専属のラボ型チーム(ODC)を組む実績が多数あります。一方で、IT市場の活発化に伴いジョブホッピング(転職)が起こりやすいため、年1回の定期昇給や技術勉強会支援などリテンション施策が求められます。
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🇮🇳 インド:世界水準のアルゴリズム力とNotice Period
AI・大規模分散システムの領域において圧倒的な人材層を誇ります。主体的なアーキテクチャ提案が得意な一方、現職への退職告知期間が60〜90日と長いため、内定から入社までの辞退防止策(Buyout交渉や週次1on1)を綿密に設計する必要があります。
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🌐 まず小さく試すなら:業務委託からのスタート
いきなり現地法人を設立したり長期の正社員雇用(EOR)を結ぶのではなく、最初の1〜2名はフルリモートの業務委託(コントラクター)として短期間のPoC(概念実証)や小さなタスクから協業を始めるのが最もリスクの低いアプローチです。
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実務で直面する各国の3大落とし穴と回避策
台風・停電耐性と13ヶ月給与
落とし穴:7〜11月の台風期に停電や光回線切断が発生。また12月24日までに基本給1ヶ月分の法定13th Month Pay支給が義務(PD 851)。
回避策:モバイルWiFi・UPS(無停電電源)手当を支給。年俸交渉時に13ヶ月給与を含む総年俸額を事前に書面合意する。
テト(旧正月)離職と業務停止
落とし穴:1月末〜2月上旬のテト賞与(基本給1ヶ月分)支給直後に転職ラッシュが発生。また国全体が1〜2週間完全休業する。
回避策:テト前後のリリース計画を前倒し設定。年次昇給・スキル評価基準を明示して春の離職を防ぐ。
Notice Period(60〜90日)と内定辞退
落とし穴:現職への退職告知期間が60〜90日と非常に長く、内定承諾後に入社するまでの間に他社からのカウンターオファーで辞退率が30〜50%に達する。
回避策:Notice Period Buyout(前職給与の買取り)で即入社させるか、入社日まで週次1on1を実施して心理的接続を維持する。
ターゲット国を「1カ国」に絞る
開発言語(英語 vs 日本語)と技術スタックに基づき、最初の進出国を1カ国に選定。複数国同時進行は避け、1カ国で運用知見を貯める。
契約方式と送金基盤の決定
1〜2名で試すなら業務委託(Wise Business送金)。長期雇用・知財直接帰属を重視するならEORプラットフォーム(Remote / Deel)を選択。
国別詳細データで実質負担を試算
選定した国の回廊データ(フィリピン・ベトナム・インド)で法定雇用主負担率(18〜32%)と職種別相場を確認し、社内予算を確定する。
よくある質問
初めての海外採用にはどの国が一番おすすめですか?
複数の国から同時に採用しても問題ありませんか?
給与の支払い通貨は国ごとに分ける必要がありますか?
国が決まったら、次は「契約形態(業務委託 vs EOR)」を判定
進出国を絞り込んだら、次は「直接の業務委託」か「海外雇用代行(EOR)」かを決めます。指揮命令の度合いと知財リスクから最適なモデルを白黒診断しましょう。
- Shirube各回廊データ(日本×フィリピン、日本×ベトナム、日本×インド)
- NASSCOM、TopDev、DOLE・BIRの公開資料(2026年10月照合)
- 換算レート: 1 PHP ≒ 2.65円 / 1,000 VND ≒ 6.1円 / 1 INR ≒ 1.82円(目安)
最終確認日: 2026-10-07。法律・税率・為替は変わるため、契約や納税の前に現地の専門家または公的機関で再確認してください。