海外エンジニアの最適な契約方式|業務委託 vs EOR(雇用代行)vs 現地法人
直接の業務委託
予算月30万以下、タスク単位で依頼し固定SaaS代を0円に抑えたい企業。送金はWise直接払いで最速開始。
EOR(海外雇用代行)
週40hの朝会・スプリントにフル参加させ、現地社会保険やHMOを提供して優秀層を囲い込みたい企業。
現地法人設立(ODC)
EOR月額手数料の総額が年間500万〜1,000万円を超え、現地法人の設立・維持費を下回る規模の企業。
自社に最適な契約方式のセルフ診断チェックリスト
チェックがついた項目が多いモデルが、現在の自社フェーズに最適な推奨契約方式です。
直接の業務委託(コントラクター)
成果物基準で自律的に動けるシニアエンジニアと、1〜2名で小さく試したいスタートアップに推奨。
海外雇用代行(EORプラットフォーム)
フルタイムで自社チームに深く組み込み、知財譲渡・福利厚生を担保して優秀層を長期維持したい場合に推奨。
現地法人設立(自社拠点 / ODC)
エンジニアが15〜20名を超え、現地でのブランディングや本格的な研究開発拠点を築く場合に推奨。
1. 偽装請負(みなし雇用)の4大判定要素
海外現地法においても、契約書の名称ではなく「勤務実態」で判断されます。①業務の進め方への直接の指揮命令、②始業・終業時刻や場所の厳格な拘束、③自社PCや備品の無償供与、④他社との兼業禁止(専属義務)の4点が存在する場合、現地労働当局から「実質的正社員」と認定され、過去に遡及した社会保険料・残業代・過怠税が請求されるリスクがあります。
2. 恒久的施設(PE: Permanent Establishment)課税リスク
業務委託やEORであっても、現地スタッフが「日本親会社を法的に拘束する契約締結権限」を行使していたり、親会社専用の固定オフィスを構えて経営中枢業務を行っていると、現地税務署から「日本法人の現地支店(PE)が存在する」と認定され、日本親会社のグローバル利益の一部に現地法人税が課税される恐れがあります。
採用人数規模別の実効コストと損益分岐シミュレーション
「業務委託」「EOR」「現地法人」それぞれの人数規模に応じた総保有コスト(TCO)と推奨判定。
| チーム人数 | 業務委託(直接) | EOR(雇用代行) | 現地法人(ODC) | 推奨判定 & 意思決定のポイント |
|---|---|---|---|---|
| 1〜2名 | ◎ 低コスト(送金手数料のみ) | +$800〜$1,200/月 | × コスト過大(不採算) | 成果物基準なら業務委託でスタート。フルタイム拘束ならEOR。 |
| 3〜5名 | △ 偽装請負リスク増 | ◎ 最適ゾーン(月+$1.5k〜$3k) | △ まだ時期尚早 | EORの活用が最もコストパフォーマンスと法令遵守のバランスが良い段階。 |
| 10〜15名 | × 労務・税務リスク高 | +$4,000〜$8,000/月 | ◯ 設立の分岐点(要検討) | EOR費用が年間数百万円規模に達するため、現地法人設立の回収シミュレーションを開始。 |
| 20名以上 | × 非推奨 | △ 固定手数料が割高 | ◎ 優位になりやすい | 自社法人を設立し、現地の投資優遇税制を活用することで単位コストを最小化。 |
3つの契約方式における実務要件・権利関係の比較表
| 比較項目 | 直接の業務委託 | EOR(雇用代行) | 現地法人(自社拠点) |
|---|---|---|---|
| 立ち上げ期間 | 最短即日〜1週間 | 1〜2週間 | 3〜6ヶ月 |
| 初期費用 | ほぼ0円 | 0円(デポジットのみ) | 約300万〜1,000万円+ |
| 月額プラットフォーム費 | 送金手数料のみ(0円〜$29) | $400〜$599 / 人 | 会計監査・事務所維持費(月30万〜100万円) |
| 業務指示・指揮命令 | 成果物指定のみ(勤怠拘束不可) | 正社員と同等に直接指示可能 | 完全な直接雇用指揮 |
| 知的財産権の帰属 | 契約条項次第(二重譲渡リスク留意) | EOR契約により日本親会社へ帰属 | 子会社から親会社へ直接移転 |
| 解約・退職の実務 | 契約書の告知期間(即時〜30日) | 現地法定解雇要件に沿ってEORが代行 | 自社の現地法人が労働裁判リスクを負担 |
失敗しない「3段階ハイブリッド移行」ロードマップ
多くの急成長テック企業が採用している、リスクと固定費を最小化する段階的アプローチ。
業務委託でスキル&カルチャー検証
1〜2名のエンジニアとWise等を介した業務委託でスタート。コード品質、自律性、英語でのコミュニケーション速度を見極める。
EORで正社員化・知財&福利厚生を強化
活躍が実証されたコアメンバーをEOR経由で正社員登用。現地の民間健康保険を付与し、知財を保護して競合への流出を防ぐ。
10〜15名規模で現地法人・ODCへ移行
チームが10〜15名を超えた時点で自社法人または専属ODCを設立。EORから社員を自社法人へ転籍させ、月額SaaSコストを圧縮。
業務委託契約で絶対に落とせない必須5大条項
海外エンジニアと直接契約を結ぶ際、偽装請負トラブル・知財二重譲渡・税務追徴を防ぐための必須条項。
知的財産権の無条件帰属
開発成果物の著作権(著作権法27条・28条の権利含む)・特許を受ける権利が「発生と同時に日本親会社へ無条件移転」する旨、および「著作者人格権の不行使」を明記。
非居住役務提供の明記
所得税法第161条(国外源泉所得)に基づき、「本契約における全ての役務は日本国外において実施される」ことを明記。日本の源泉徴収(20.42%)免除の税務証憑とする。
指揮命令の完全排除
偽装請負を防ぐため、「勤務時間・勤務場所は本人の自由裁量」「成果物の仕様および納期基準による検収」「自前のPC・機器を使用」する旨を契約書に規定。
秘密保持(NDA)とデータ保護
ソースコード・顧客データの外部持ち出し禁止、私用ストレージへのバックアップ禁止、契約終了時の全データ消去義務と証明書提出を義務付け。
準拠法と管轄裁判所
「準拠法は日本法とし、紛争が生じた場合は東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする」旨を明記し、海外現地裁判所での訴訟負担を回避。
送金通貨と手数料負担
「契約通貨(USDまたは現地通貨)」「着金時の中継手数料負担(Wise送金手数料は甲が負担等)」を明記し、毎月の送金トラブルを防止。
契約形態の社内確定
成果物ベースの業務委託か、勤怠を管理する正社員EORかを決定し、社内稟議の前提を統一する。
契約書・ツールの準備
業務委託なら上記5大条項を入れた英文契約書を準備。送金口座としてWise Business(法人)を開設する。
EOR候補2社の見積もり比較
EORを採用する場合は、DeelとRemote(またはMultiplier)に現地社会保険を含めた総額試算を依頼する。
- DOLE Department Order No. 174 (Philippines)
- OECD Model Tax Convention Art. 5 (PE)
判定が出たら、該当するツール・事業者の選定へ
業務委託なら送金手数料を最小化するWise等の比較へ、正社員EORなら法令・知財を担保する人気3社(Deel / Remote / Multiplier)の比較へ進みます。